Spot vision screener ™
瞳孔から両眼の中に光を入れて、帰ってくる反射から遠視、乱視、近視などの屈折異常を簡便に検出する装置です。 両眼同時測定のため、眼の位置の異常(斜視)もわかります。 測定不能の場合には、red reflex testのように、眼の中に病気があることが疑われます。
Spot vision screener ™ (SVS) による乳幼児の視覚スクリーニング
(1) 乳幼児に対するSVSの使用法
- SVSで視力を測ることはできません。弱視の危険因子となる斜視および屈折異常をスクリーニングする機器です。
- 目の診察、問診、視力検査に併用するスクリーニング機器です。
- 低年齢(3歳未満)におけるスクリーニングの精度は確立していません。
- 両目または片目でのスクリーニングが完了しない場合、斜視判定となった場合には、 眼疾患が潜んでいる疑いがあり、年齢を問わず、早急に眼科へ受診をする必要があります。
(2) 3歳児健診の視覚検査におけるSVSの導入
3歳児健診の視覚検査において、SVSによる屈折検査を導入すると弱視の検出に有用です。
しかし感度が高く、特異度が低い装置のため、特に屈折異常の判定には偽陽性が多いことに注意が必要です。
偽陽性を少なくするために、基準値を変更することが推奨されています(学会推奨基準)。
屈折(D:ジオプター, 絶対値) *等価球面度数 |
遠視* | 近視* | 乱視 | 不同視 |
---|---|---|---|---|
現行の基準(機器に搭載)≦ | 2.50 | 1.25 | 1.75 | 1.00 |
学会推奨基準 ≦ | 2.50 | 2.00 | 2.00 | 1.50 |
URL http://welchallyn.jp/visionscreener/criteriachange.html 取扱説明書,基準値変更方法をご参照ください。
(3) 乳児に対するSVSの使用経験
生後3~6か月の乳児に対するSVSは、視覚スクリーニングの補助手段として、眼器質疾患や斜視の検出に役立つことが示されています。
乳児に対するSVSの検査成功率は95%、斜視の検出精度は感度100%、特異度92.9%と高率です。
参考文献
- 小児科医向けSpot Vision Screener運用マニュアル Ver.1:日本弱視斜視学会・日本小児眼科学会(2018年7月)
- 3歳児健診における視覚検査マニュアル~屈折検査の導入に向けて~日本眼科医会作成、日本小児眼科学会・日本弱視斜視学会・日本視能訓練士協会監修(2021年7月)
- 松岡真未、仁科幸子、三井田千春、松井孝子、吉田朋世、横井匡、伊藤裕司、塚本桂子、東範行.6か月以下の乳児に対するSpot Vision Screenerの使用経験.眼科臨床紀要2022年. 印刷中
(国立成育医療研究センター眼科仁科幸子)